ドクターズノート
「沈黙の臓器」肝臓からのSOS
~知らないと損する!新常識と今日からできる脂肪肝対策~
こんにちは。院長の嬉野です。
今回は「脂肪肝」について、よくある誤解を解きながら、知らないと損する最新知見と対策をわかりやすくお届けします。
「脂肪肝なんて太ってる人だけの病気でしょ?」
「お酒を控えれば治るでしょ?」
そう思っている方こそ、ぜひ最後までお読みください。
生活習慣病は“肝臓”から始まる?~脂肪肝と4つの重大リスク
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまっている状態。
自覚症状はありませんが、放置すると下記のようなリスクが高まります。
関連疾患 | 脂肪肝との関係 |
---|---|
高血圧 | 肝臓でのナトリウム調整異常により血圧が上昇しやすくなる |
糖尿病 | インスリン抵抗性が肝臓から始まる「肝性インスリン抵抗性」 |
脂質異常 | 肝臓での中性脂肪合成が過剰になり、LDLや中性脂肪が上昇 |
心筋梗塞・脳梗塞 | 慢性炎症と動脈硬化が進行しやすくなる |
脂肪肝は“ただの内臓脂肪”じゃない?~実はうつ病・がんの引き金にも
脂肪肝は「放置しても大丈夫」と思われがちですが、実はさまざまな全身疾患と関連しています。
● 肝臓と「うつ病」の意外な関係
最新の研究で、脂肪肝とうつ症状の関連性が報告されています。脂肪肝の背景にある「慢性炎症」が脳内に影響を及ぼし、気分障害や不眠を引き起こす可能性があるとされています。
「痩せているのに脂肪肝?」が今、増えている
BMIが正常範囲でも脂肪肝が見つかる「Lean NAFLD(リーンナッフルディー)」が急増しています。
✅ 脂肪肝リスクのあるライフスタイル例
リモートワーク中心で1日1,000歩未満
糖質制限ダイエットをしている
夜中に間食する習慣がある
睡眠時間が6時間未満
→「痩せている=健康」とは限らないのが現代の脂肪肝の落とし穴です。
こんな症状があれば「肝臓からのSOS」かも?
あなたはいくつ当てはまりますか?
お酒に弱くなった
健診でALT(GPT)やγ-GTPが高めだった
夕方に強い眠気がある
右肩のこりが慢性的
爪に縦じまが出てきた
アロマや香水が苦手になった
いずれも肝機能の低下で見られることがあるサインです。
脂肪肝を治せば、生活習慣病も一気に改善できる!
脂肪肝の良いところは、薬を使わなくても改善できる余地が大きいことです。
さらに、脂肪肝が改善するとこんな副次的効果もあります
肝臓が元気になるとこんな効果があります
- 血圧が下がる
- 血糖値が安定・・・・・・・・・・・・・・・インスリン感受性が改善
- 中性脂肪・悪玉コレステロールが改善・・・・脂質代謝がスムーズになります
- 疲労が減る・・・・・・・・・・・・・・・・解毒・代謝能力が向上
今日から始める「肝臓リセット」生活~5つの実践ポイント
① コーヒーは「1日2杯」が肝臓に優しい
クロロゲン酸が脂肪の蓄積を防ぎ、肝線維化を抑える効果が確認されています。
※ただし砂糖やミルクの入れすぎには注意!
② くるみは“1日7粒”で抗炎症サポート
オメガ3脂肪酸が豊富で、肝臓の炎症をやわらげる働きがあります。スナック菓子の代わりにどうぞ。
③ 「夜10時以降」は肝臓のゴールデンタイム
この時間帯は肝臓が自己修復を行う時間。夜食や飲酒は控え、スマホもオフに。
④ テレビを見ながら「肝臓ストレッチ」
簡単な方法でも血流が改善され、肝臓の代謝機能がアップします。
おすすめポーズ:
- 仰向けで膝を立てる
- 右肋骨の下に湯たんぽを当てる
- 腹式呼吸を5分間繰り返す
⑤ 1日3回の「緑茶」で脂肪燃焼スイッチON
カテキンは肝臓の脂肪分解酵素を活性化し、脂肪蓄積を防ぎます。
数値で見る脂肪肝リスク~ALT・γ-GTPを見逃すな!
ALT(GPT) 30以上
γ-GTP 50以上
これらが高い方は、症状がなくても脂肪肝の進行が疑われるため、早めの超音波検査をおすすめします。
当クリニックでできる脂肪肝チェックとサポート
✅ 肝脂肪量の可視化:5分でわかる腹部エコー診断
✅ 食事・生活習慣サポート:栄養士による1対1のアドバイス
✅ 改善フォロー:3か月ごとの再検査で、数値の変化をチェック
✅ あなたの脂肪肝セルフチェック(3つ以上で受診推奨)
□ 血圧130/85mmHg以上を指摘されたことがある
□ 空腹時血糖が100mg/dL以上
□ LDLコレステロールが140以上、または中性脂肪が150以上
□ お酒を週3回以上飲む
□ 甘い飲み物・お菓子を毎日食べる
□ 運動は週1回未満
→ 2つ以上で“生活習慣病+脂肪肝”のリスクあり。まずは検査から始めてみませんか?
脂肪肝は「生活習慣で治せる数少ない病気」
肝臓は「我慢強い恋人」のような存在。
文句は言わなくても、ちゃんと見てあげないと突然壊れてしまいます。
脂肪肝は、高血圧・糖尿病・脂質異常に先行する“警告灯”です。
「最近なんとなく疲れやすい…」
「健診で少し肝機能が高めと言われた」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。脂肪肝は、“気づいてあげること”が最初の治療です。