脂肪肝
下記の項目に当てはまる方は
要注意
- よく暴飲暴食をしてしまう
- 睡眠時間があまりない
- 運動不足
- 過労気味である
- 日常的に精神的なストレスがある
- 喫煙する
- 日頃から飲酒をする
那珂川市・博多南駅周辺にお住まいの方で上記の項目に一つでも当てはまる方は脂肪肝の可能性があります。
少しでも気になる方はお気軽に当院へご相談ください。
脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓内に中性脂肪が5%以上蓄積された状態を指します。
日本人の約3人に1人が脂肪肝であると言われています。
過剰に蓄えられた脂肪は肝臓に炎症を引き起こし、放っておくと肝硬変や肝臓がんになる危険性もあります。
脂肪肝の原因はいくつかありますが、多くはアルコールの過剰摂取によるアルコール性脂肪肝と過食による非アルコール性脂肪肝に分類されています。
アルコール性脂肪性肝炎
過度の飲酒やアルコールの摂取が原因で脂肪肝を発症することで、最終的に肝臓に炎症が生じることがあります。
この状態を「アルコール性脂肪性肝炎」と呼びます。
肝炎が進行すると肝細胞が損傷を受け、肝硬変や肝がんを引き起こすリスクが高まります。
そのため、アルコールを日常的に摂取している方で健診や人間ドックで「肝機能異常」と指摘された場合は、注意が必要です。
アルコールを日常的に摂取している量は1日あたり男性で30グラム、女性で20グラム以上であるとされています。
缶ビールであれば350mlあたり約14グラム含まれており、日常的に飲酒を楽しまれる方であれば容易にアルコール性脂肪肝に分類される量に達してしまいます。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
日本人において、脂肪肝の最も多い原因は、過剰な食事による栄養の摂り過ぎです。
アルコールを全く摂取しない人でも、脂肪肝を発症することは考えられます。
これを「非アルコール性脂肪性肝炎」と呼びます。
アルコール性脂肪性肝炎と同様に最悪の場合、肝がんまで進行する可能性があります。
脂肪肝を放置すると…
脂肪肝を放置すると約10〜20%が脂肪性肝炎へ進展し、そこから約20%が肝硬変、さらには肝がんへ進展すると考えられています。
肝硬変となった肝臓は正常の肝臓に戻ることはありません。
しかし脂肪肝、脂肪肝炎は正常肝へ戻ることは可能ですので、この段階で治療介入する事が重要です。
肝硬変
肝硬変とは、肝臓が長い間のダメージや病気によって正常な組織が少なくなり、硬くなる病気です。
肝臓にダメージがたまると炎症が起こり、肝細胞が傷ついてしまいます。
これによって、硬化が進むと、肝臓の働きが悪くなり、血液の流れが悪くなります。
肝硬変になると倦怠感や黄疸、腹水の貯留といった様々な症状が出現します。
脂肪肝の症状
肝臓は他の臓器に比べて症状が現れにくいとされていることから、沈黙の臓器と呼ばれています。
そのため、脂肪肝の場合でも、目立った症状がないことが多く、検診での採血異常で指摘されることがほとんどです。肝臓は非常に予備能力の高い臓器のため重度の脂肪肝でも採血で異常を来さない場合も多くあります。この様な隠れた脂肪肝は日本では1000万人近くいるのではないかと言われています。
脂肪肝を持つ方は、生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの疾患の合併が多く見られます。脂肪肝になると血液の粘度が増してしまい、血流が悪化するため、全身の細胞への酸素や栄養の供給が難しくなります。
特に肥満気味で、倦怠感や頭のぼんやり感を感じる方は注意が必要です。生活習慣病は狭心症や心筋梗塞などの心疾患を引き起こす危険性が高いので、早期の対処が重要です。
脂肪肝の検査と診断基準
脂肪肝の診断基準
肝細胞内に中性脂肪が5%以上蓄積されていると診断されます。
通常、脂肪肝の状態を確認するために以下の検査が行われます。
検査 | 概要 |
---|---|
血液検査 | 肝臓に障害があると、ALT(GPT)やAST(GOT)の値が上昇します。 非アルコール性脂肪肝の場合、特にALTの値が高くなる傾向があります。 一方、アルコール性脂肪肝ではASTの値が上昇する傾向があります。 |
腹部超音波 | 脂肪肝の部分が白っぽく現れます。 これまでは超音波による脂肪肝の測定は主観的な所見でしたが近年は脂肪の量を数値として測定できる機種もあり、これらの機種では画像上診断できない軽微な脂肪肝も診断可能になりました。 |
FIB 4-index (フィブフォーインデックス) | 採血の値(AST,ALT,血小板)と年齢から肝線維化の進展をスコアリングし予測します。 |
脂肪肝の対策・治療法
脂肪肝は、初期症状がほとんど現れないため、多くの場合見過ごされがちな状態です。
しかし、放置していると、肝炎や肝硬変、さらには肝がんへと進行することがあります。
まずは定期的な検査を受け、自分の健康状態を確認することが大切です。
当院では、脂肪肝の原因を特定することからスタートします。アルコールが原因の場合、禁酒が最も効果的な治療法です。
脂肪肝は、ほとんどの場合、生活習慣を改善することで回復が可能です。
肥満を伴う脂肪肝は体重を7〜10%減量することによって改善が認められます。
食事は三食バランスよく摂取しましょう
日常生活では、栄養バランスの良い食事を意識することが重要です。
過食気味の方は、カロリーを抑えることも効果的です。
主食・主菜・副菜を揃えた食事を心がける。
バランスの取れた食事の基本は以下の通りです。
- 主食:1品
- 主菜(魚、肉、卵、大豆製品など):1品
- 副菜(野菜、きのこ、海藻類):2品
特に主食や主菜を多く摂りすぎると、過剰なカロリー摂取につながります。
糖質を控えながら、質の高いタンパク質を摂る工夫が大切です。
外食が多い方には、主食・主菜・副菜が揃いやすい和定食をおすすめします。
糖分や脂肪分の多い食事は、できるだけ避けるようにしましょう。
食物繊維やビタミンが豊富な食品を選びましょう
低カロリーで栄養価の高い野菜や海藻、きのこ類は、体調を整えます。
野菜は血糖値の急上昇を防ぎ、食物繊維が豊富な食品は腸内での糖質や脂質の吸収を遅らせる効果があります。
食事の最初にこれらを摂ることで、過食を防ぐ助けにもなります。
糖質や脂肪の多い食事は控えましょう
糖質や脂質を過剰に摂取することは、肥満の原因になります。
特に間食をよくする方は注意が必要です。
砂糖は特に避けるべきもので、果物を多く食べる方も摂りすぎには気をつけるべきです。
果糖は肝臓に脂肪を蓄積しやすく、肥満を引き起こす要因となります。
アルコールの摂取を控えましょう
お酒はカロリーが高いだけでなく、一緒に食べる「つまみ」も高カロリーになることが多いです。
飲酒の量や頻度を見直し、肝臓への負担をできるだけ軽減することが大切です。
また、主食の代わりにお酒を摂る方もいますが、栄養のバランスが崩れ、肥満の原因となることがあるので注意が必要です。
適度な運動を心掛けましょう
運動をすることで、肝機能障害や肝臓の脂肪蓄積を改善することが期待できます。
特に、肥満を伴う脂肪肝の方が、週に3〜4回、30〜60分の有酸素運動を4〜12週間続けることで、たとえ体重が減少しなくても肝臓の脂肪状態が改善されることが判明しています。
適度な運動は脂肪肝以外にも、他の生活習慣病の改善や予防にもつながりますので、無理のない範囲で積極的に取り組むことが重要です。
薬物療法
非糖尿病性のNASH患者には、ビタミンEが第一選択とされていますが脂肪肝には保険適応となっていません。
また糖尿病を合併している場合は糖尿病の治療を行います。
当院では脂肪肝を定量的に測定できる最新の超音波を導入しており、通常の超音波では診断できない軽微な脂肪肝の診断も可能です。
また薬物による積極的な脂肪肝の治療を行っておりますので、肝機能異常が指摘された方や、脂肪肝が気になる方はお気軽にご相談ください。