健診異常を指摘された方へ
健康診断で「異常あり」「要精密検査」と指摘された方へ
放置せずに内科を受診しましょう
「健康診断の結果、異常が見つかりました。」
健診結果の通知を受け取り、このような言葉を目にすると、誰でも不安になるものです。しかし、異常を指摘されたからといって、必ずしも重篤な病気であるとは限りません。大切なのは、放置せずにまずは内科を受診し、適切な検査と診断を受けることです。
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、初期段階ではほとんど症状が現れません。そのため、健康診断で異常を指摘されても、「まだ大丈夫だろう」と軽く考えてしまう方も少なくありません。しかし、放置すると病状は徐々に進行し、気づいた時には深刻な状態になっていることもあります。
厚生労働省の調査によると、日本人の主な死因として、悪性新生物(がん)と心疾患が挙げられます。これらの病気は、健康診断などで早期に発見し、適切な治療を行うことで、死亡リスクを下げることが可能です。
健康診断で異常を指摘された場合は、決して自己判断せずに、必ず医療機関を受診し、医師に相談してください。専門医の診断を受けることで、ご自身の状態を正確に把握し、適切な治療や生活習慣の改善に取り組むことができます。
健康診断の結果でよく見られる異常と、受診の目安
健康診断の結果でよく見られる異常と、受診の目安をいくつかご紹介します。
- 血糖値・HbA1c
健康診断で「血糖値が高い」または「HbA1c値が高い」と指摘された場合、糖尿病や糖尿病予備群の可能性が考えられます。糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、多くの場合、生活習慣の乱れや運動不足が原因となる2型糖尿病です。血糖値やHbA1c値を放置すると、糖尿病が悪化し、神経障害、網膜症、腎症といった合併症を引き起こすリスクが高まります。しかし、早期に治療を開始することで、薬に頼らず、運動習慣や食事習慣を見直すだけで改善する可能性もあります。
- 血圧
血圧が「140/90mmHg」以上の場合、高血圧が疑われます。高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、放置すると全身の血管や心臓に大きな負担がかかります。その結果、動脈硬化が進行し、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎機能障害など、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクが高まります。早期に治療を開始することで、薬に頼らず、運動習慣や食事習慣を見直すだけで改善する可能性もあります。
- コレステロール・中性脂肪
健康診断で、LDLコレステロール値が「140mg/dl」以上、HDLコレステロール値が「40mg/dl」未満、または中性脂肪値が「150mg/dl」以上の場合、脂質異常症の疑いがあります。脂質異常症も、自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、放置すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる重大な病気を引き起こすリスクが高まります。早期に治療を開始することで、薬に頼らず、運動習慣や食事習慣を見直すだけで改善する可能性もあります。
- 尿酸値
健康診断で尿酸値が高いと指摘された場合、高尿酸血症や痛風の可能性があります。尿酸値が高い状態が続くと、足先などの末梢組織の血管内で尿酸が結晶化し、激しい関節痛を伴う痛風発作を引き起こすことがあります。また、腎機能障害のリスクも高まります。早期の発見で、生活習慣の改善により尿酸値をコントロールすることが可能です。
- クレアチニン・尿素窒素・eGFR
健康診断でクレアチニン、尿素窒素、eGFRのいずれかの異常を指摘された場合、腎機能が低下している可能性があります。腎臓は、体内の老廃物を尿として排出する役割を担っていますが、腎機能が低下すると、老廃物が体内に蓄積し、腎不全などのリスクが高まります。早期発見により、腎機能の低下を緩やかにできる可能性があります。
- 尿蛋白・尿潜血
健康診断で尿蛋白や尿潜血の異常を指摘された場合、腎機能の低下や、腎臓がん、膀胱がん、腎炎などの病気が隠れている可能性があります。尿蛋白や尿潜血を放置すると、腎機能が悪化するだけでなく、がんなどの病気が進行するリスクもあります。早期発見・治療で、腎機能悪化やがんの進行を抑制することが重要です。
- AST・ALT・γGTP
健康診断でAST、ALT、γGTPのいずれかの異常を指摘された場合、肝機能が低下している可能性があります。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状が出にくいため、放置すると肝炎、肝硬変、肝がんなどのリスクが高まります。早期発見・治療で、肝機能の悪化を抑制することが重要です。
- 貧血
健康診断で貧血を指摘された場合、ヘモグロビン濃度(血色素量)が低下している状態です。貧血の原因は、鉄分不足だけでなく、胃潰瘍、胃がん、大腸がん、子宮筋腫、白血病など、様々な病気が考えられます。原因を特定し、早期治療につなげることが大切です。
- アミラーゼ・リパーゼ
健康診断でアミラーゼやリパーゼの異常を指摘された場合、膵臓の機能に異常がある可能性があります。膵臓は、消化酵素を分泌する臓器であり、膵炎や膵がんなどの病気が考えられます。膵臓の病気は、自覚症状が出にくく、発見が遅れることがあるため、早期発見が重要です。
- 心電図
健康診断の心電図検査で異常を指摘された場合、不整脈、心筋梗塞、狭心症など、心臓の病気の可能性があります。心電図の異常を放置すると、突然死や心不全などのリスクが高まります。早期発見・治療で、重大な心疾患を予防することが重要です。
上記はあくまで一般的な目安です。ご自身の健診結果について、詳しくはお近くの内科医にご相談ください。
健診は「受けた後」が一番重要です
健康診断は、受けた後の行動こそが最も重要であることをご存知でしょうか。健診結果に不安を感じ、「病気が見つかるのが怖い」「忙しくて時間がない」といった理由で、二次検査を避けてしまう方もいるかもしれません。しかし、健診結果を放置することは、将来の健康を大きく左右する可能性があります。
ご自身の健康はもちろん、大切な家族との未来のためにも、健診結果を受けっぱなしにするのは避けましょう。未来の健康は、健診後の行動にかかっています。今、行動することで、健康寿命を延ばし、より豊かな人生を送ることができます。
当院では、健康診断後のサポートにも力を入れています
当院では、健康診断で異常を指摘された方のサポートにも力を入れています。お一人ひとりの状況に合わせて、適切な検査、診断、治療、生活習慣の改善指導などを行います。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。