
ドクターズノート
便潜血検査「陰性だから大丈夫」は危険な誤解です
便潜血検査が「陰性だから大丈夫」は危険な誤解です
便潜血検査だけで、早期の大腸がんは見つかりません
毎年の健診で「便潜血検査(FOB検査)」を受けて、結果が「陰性」だったとき、「今年も大腸がんはない」と安心していませんか?
実はこの検査、見逃しが非常に多く、特に"早期"の大腸がんに対しては、見つけられない確率のほうが高いのです。
1便潜血検査とはどんな検査?
便潜血検査は、便の中に微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸がんやポリープが出血することで陽性になります。痛みなく、自宅で採便できる手軽な検査で、多くの自治体健診でも取り入れられています。
ただし、この検査が得意なのは「出血しているがん」を見つけること。逆に言えば、出血していないがんは見つけられません。
2早期がんの見逃し率は最大70%
大腸がんには進行度(ステージ)があります。問題は、治療しやすい「早期がん」ほど出血が少なく、便潜血検査では見つかりにくいという点です。
早期(Stage 0)の大腸がんがあった場合、検査で見逃される確率は最大70%。
陰性 = がんがない、ではありません。
3陰性でも1000人に1〜2人はがんがある
「陰性判定を受けた人のうち、次の検診までにがんが見つかる人」のことを「中間期がん」と呼びます。国内外の研究では、便潜血陰性後の2年間で、1,000人あたり約1〜2人に大腸がんが発見されることが報告されています。
4手術になったら、費用はどれくらい?
早期発見できれば内視鏡でポリープや粘膜内がんをその場で切除できます。しかし、発見が遅れてしまうと、腹腔鏡下手術が必要になり、費用も入院の負担も大きくなります。
腹腔鏡下結腸切除術(入院10〜14日)の費用目安
高額療養費制度のおかげで窓口での医療費負担は抑えられます。ただし、これに加えて入院中の食事代(約1.6万円)・差額ベッド代・日用品費・仕事を休むことによる収入減なども考えると、患者さんへの実質的な負担はより大きくなります。
日帰り〜短期入院で済み、身体的・経済的な負担は手術と比べて大幅に少なくなります。
5大腸内視鏡検査なら何が違う?
大腸内視鏡(大腸カメラ)はカメラで大腸の内側を直接観察する検査です。便潜血検査とは根本的に異なり、出血していない早期がんやポリープも直接見つけることができます。
日本の大規模スクリーニング研究(秋田県、2025年)では、無症状の方4,495人に大腸内視鏡検査を実施したところ、0.6%(27人)に大腸がんが発見されました。そのほとんどが早期段階でした。
見逃しリスクを大幅に減らすことができます。
特に40歳を過ぎた方、大腸がんの家族歴がある方、
便通の変化が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献:Niedermaier T, et al. Am J Gastroenterol. 2020 / Kawamura T, et al. J Anus Rectum Colon. 2021 / Kudo SE, et al. BMJ Open Gastroenterol. 2025 / 住友病院 入院医療費概算 2024 / 厚生労働省 診療報酬点数表(令和6年度)








