
脂肪肝
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰にたまった状態をいいます。かつては「太っている人の一時的な状態」「特に問題のないもの」と考えられていましたが、近年では、一部の脂肪肝が肝臓の炎症・線維化を経て肝硬変や肝がんへと進行することがわかってきました。健康診断で肝機能の異常(AST・ALT・γ-GTPの上昇)を指摘された方や、腹部エコーで「脂肪肝がある」と言われた方は、たとえ自覚症状がなくても、一度きちんと肝臓の状態を評価しておくことが大切です。
福岡県那珂川市のうれしの外科胃腸科クリニックは肝臓専門医の院長が脂肪肝の診療にあたっています。当院は腹部エコー(超音波検査)が充実しており、脂肪の量を数値でとらえる肝脂肪の定量化や、肝臓のかたさ(線維化の程度)の測定にも対応しています。検診で肝機能異常を指摘された方、以前に脂肪肝と言われたまま経過をみていない方も、お気軽にご相談ください。
脂肪肝とは
脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。健康な肝臓にもわずかに脂肪は含まれていますが、その割合が一定以上に増えると「脂肪肝」と診断されます。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、脂肪がたまっても初期にはほとんど症状が出ないことが特徴です。そのため、健康診断の血液検査や腹部エコーで、はじめて指摘されるケースが少なくありません。
脂肪肝そのものは、すぐに命に関わるものではありません。しかし、一部は肝臓に炎症が加わる「脂肪肝炎」へと進み、さらに線維化(肝臓が硬くなる変化)が進行すると、肝硬変や肝がんにつながることがあります。脂肪肝は「気づいたときに対処すれば改善が期待できる」段階でもあるため、早めに評価しておくことに意味があります。
脂肪肝の種類 ― アルコール性と代謝関連(旧・非アルコール性)
脂肪肝は、かつては原因によって「アルコール性脂肪肝(飲酒が主な原因のもの)」と「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/飲酒量が少ないのに生じるもの)」の2つに分けて考えられていました。しかし実際には、お酒を飲む方にも肥満や糖尿病などの代謝の異常が重なっていることが多く、「アルコールのせいか、それ以外か」をはっきり線引きできるケースばかりではありません。
そこで近年は、飲酒の有無だけで分けるのではなく、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧といった代謝の異常との関わりを重視した「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」という考え方が国際的に用いられるようになっています。呼び方や分類は変わってきていますが、いずれのタイプの脂肪肝であっても、食事・運動・減量・節酒といった生活習慣の改善が治療の土台になる点は共通しています。
単純性脂肪肝と脂肪肝炎(NASH/MASH)
飲酒以外が原因の脂肪肝は、さらに、炎症をほとんど伴わない「単純性脂肪肝」と、肝臓に炎症と細胞のダメージを伴う「脂肪肝炎(NASH/MASH)」に分けられます。問題となりやすいのは脂肪肝炎のほうで、こちらは線維化が進みやすく、肝硬変や肝がんへ進行するリスクが相対的に高いと考えられています。見た目の症状だけでこの2つを区別することはできないため、血液検査やエコーによる評価が重要になります。
脂肪肝を放置するとどうなる ― 線維化から肝硬変・肝がんへ
脂肪肝で最も注意すべきなのは、「線維化」の進行です。肝臓に炎症が続くと、ダメージを受けた部分が少しずつ硬い組織(線維)に置き換わっていきます。この線維化がゆっくり進むと、やがて肝臓全体が硬くこわばった「肝硬変」の状態に至ります。肝硬変になると肝臓の働きが低下し、むくみや腹水、黄疸、食道静脈瘤などの合併症が現れることがあり、肝がんの発生リスクも高くなります。
大まかな流れとしては、正常な肝臓 → 脂肪肝 → 脂肪肝炎(炎症) → 線維化の進行 → 肝硬変・肝がん、という段階をたどります。ここで重要なのは、脂肪肝や線維化の初期の段階であれば、生活習慣の改善や適切な治療によって進行を抑えたり、状態の改善が期待できたりする点です。だからこそ、「どのくらい脂肪がたまっているのか」「線維化がどの程度進んでいるのか」を早い段階で把握しておくことが、その後の経過を大きく左右します。
脂肪肝が高める、肝臓以外の病気のリスク
脂肪肝で注意すべきなのは、肝硬変や肝がんだけではありません。脂肪肝は、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧といった代謝の異常と深く結びついており、これらの生活習慣病と互いに影響し合っています。脂肪肝がある状態を放置すると、全身のさまざまな病気のリスクが高まると考えられています。
具体的には、次のような病気との関連が指摘されています。
- 2型糖尿病(脂肪肝があると発症・悪化しやすくなります)
- 脂質異常症・高血圧などの生活習慣病
- 心筋梗塞・狭心症・脳卒中などの動脈硬化に関連する病気
- 慢性腎臓病 など
つまり脂肪肝は、「肝臓だけの問題」ではなく、全身の健康状態を映す一つのサインでもあります。脂肪肝を改善するための生活習慣の見直しは、肝臓を守るだけでなく、こうした生活習慣病や動脈硬化の予防にもつながります。
肝臓の線維化の程度(線維化ステージ)
肝臓の線維化の程度は、一般に「F0〜F4」という段階で表されます。数字が大きいほど線維化が進んでおり、F4はいわゆる肝硬変の状態です。脂肪肝の評価では、脂肪の量だけでなく、この線維化がどの段階にあるかを把握することが特に重要とされています。
| ステージ | 線維化の状態 |
|---|---|
| F0 | 線維化なし |
| F1 | 軽度の線維化(門脈域を中心とした線維化) |
| F2 | 中等度の線維化(線維化が周囲へ広がり始める) |
| F3 | 高度の線維化(線維が橋を架けるように連なる) |
| F4 | 肝硬変 |
※ 線維化ステージは、本来は肝生検(組織検査)による分類ですが、近年は採血や腹部エコー(エラストグラフィ)などを組み合わせて、体への負担が少ない方法で線維化の程度を推定できるようになっています。
脂肪肝の症状
脂肪肝は、初期にはほとんど自覚症状がありません。多くの方は、健康診断や人間ドックの血液検査・腹部エコーで指摘されて、はじめて気づきます。症状が乏しいために「経過をみていればよい」と放置されやすいのですが、その間に線維化が進んでいることもあるため、注意が必要です。
倦怠感・右上腹部の違和感
脂肪肝が進んだ場合や炎症を伴う場合には、なんとなくだるい、疲れやすい、右の肋骨の下あたりに重い感じや違和感がある、といった訴えがみられることがあります。ただし、これらは脂肪肝に特有の症状ではないため、症状だけで判断することはできません。
肝硬変へ進行した場合の症状
線維化が進んで肝硬変の段階に至ると、足のむくみ、お腹が張る(腹水)、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、手のひらが赤くなる、疲れやすさが強くなる、といった症状が現れることがあります。ここまで進む前の段階で見つけて対処することが望まれます。
脂肪肝の原因・リスク要因
脂肪肝は、特定の一つの原因だけで起こるわけではなく、生活習慣や体質など複数の要因が関係します。とくに、いわゆるメタボリックシンドロームと深く関わっていることが知られています。主なリスク要因として、次のようなものが挙げられます。
- 肥満・内臓脂肪の蓄積
- 糖尿病・血糖値の高さ(インスリン抵抗性)
- 脂質異常症(中性脂肪・コレステロールの異常)
- 高血圧
- 飲酒(アルコール性脂肪肝の場合)
- 運動不足・食べ過ぎ・糖質や脂質のとり過ぎ
- 急激な体重増加
一方で、必ずしも太っている方だけに起こるわけではなく、標準的な体格の方や、痩せ型の方に脂肪肝がみられることもあります。「太っていないから大丈夫」とは言い切れないため、健診で指摘された場合には一度きちんと評価することをおすすめします。
健康診断で肝機能異常を指摘された方へ
健康診断や人間ドックで、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPといった肝機能の数値が基準より高いと指摘されることがあります。これらの上昇の背景として、脂肪肝はもっとも多い原因の一つです。ただし、肝機能異常の原因は脂肪肝だけではなく、ウイルス性肝炎、自己免疫性の肝疾患、薬剤やアルコールの影響など、さまざまな病気が隠れていることもあります。
「毎年少し高いと言われるが、そのままにしている」という方は少なくありません。しかし、数値の異常が続く場合や、以前より悪化している場合には、原因をきちんと調べておくことが大切です。当院では、肝臓専門医が血液検査と腹部エコーを組み合わせ、肝機能異常の原因の評価と、脂肪肝・線維化の程度の確認を行います。
脂肪肝が疑われるときの検査
脂肪肝の診療では、「脂肪がどのくらいたまっているか」だけでなく、「炎症や線維化がどの程度進んでいるか」を評価することが重要です。当院では、体への負担が少ない検査を組み合わせて、総合的に肝臓の状態を判断します。
血液検査・FIB-4 index
まず、AST・ALT・γ-GTP・血小板数などの血液検査で、肝機能の状態を確認します。あわせて、年齢・AST・ALT・血小板数から計算する「FIB-4 index」という指標を用いると、採血の結果だけで肝臓の線維化がどの程度進んでいそうかをおおまかに推定することができます。日本肝臓学会などのガイドラインでも、脂肪肝の線維化のスクリーニングにこうした指標を活用することが示されています。
| FIB-4 index | 線維化進行の可能性の目安 |
|---|---|
| 1.3未満 | 低い(進行した線維化の可能性は低い) |
| 1.3〜2.67 | 判定保留(腹部エコーなどによる追加評価が望ましい) |
| 2.67超 | 高い(進行した線維化が疑われ、精密な評価が必要) |
※ 上記はあくまで目安です。FIB-4 indexは年齢の影響を受けやすく、特にご高齢の方では判定の解釈に注意が必要です。実際の評価は、腹部エコーなどの結果とあわせて総合的に行います。
腹部エコー(超音波検査)― 脂肪の定量化・線維化の測定
脂肪肝の評価で中心となるのが腹部エコー(超音波検査)です。肝臓に針を刺すことなく、体の外から肝臓の状態を観察できる、負担の少ない検査です。当院はエコー検査が充実しており、脂肪肝の有無を確認するだけでなく、肝臓にたまった脂肪の量を数値でとらえる「肝脂肪の定量化」や、肝臓のかたさ(線維化の程度)を測定する検査にも対応しています。肝臓専門医として、こうした定量的な評価を経過観察に取り入れることで、「良くなっているのか、進んでいるのか」を数字で追っていける点が大きな利点だと考えています。
追加の検査
肝機能異常の原因を確認するために、必要に応じてウイルス性肝炎の検査などを追加します。また、線維化が進んでいることが疑われる場合や、より詳しい評価が必要と判断した場合には、専門的な医療機関と連携しながら診療を進めます。
脂肪肝の治療
脂肪肝の治療の土台は、原因やタイプにかかわらず、生活習慣の改善です。アルコール性・代謝関連(MASLD)のいずれであっても、食事・運動・減量・節酒の見直しが欠かせません。無理な急激なダイエットはかえって肝臓に負担をかけることがあるため、専門医や管理栄養士と相談しながら、適切なペースで無理なく続けることが大切です。
食事・運動・減量
食べ過ぎを避け、糖質や脂質のとり過ぎを控えたバランスのよい食事と、ウォーキングなどの適度な有酸素運動を組み合わせることが有効とされています。体重をゆるやかに減らすことで、肝臓にたまった脂肪が減り、肝機能の数値の改善が期待できます。飲酒が関係している場合は、節酒・禁酒が重要になります。
栄養指導のご案内
「生活習慣を変えたほうがよいのはわかっているが、何をどう変えればよいかわからない」という方は少なくありません。当院では、脂肪肝の改善に向けて栄養指導を行っており、一人ひとりの食生活や生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる具体的な方法を一緒に考えます。自己流の極端な食事制限に走る前に、まずは専門的なアドバイスを受けていただくことをおすすめします。
背景にある病気の治療
糖尿病・脂質異常症・高血圧などが背景にある場合は、それぞれの病気の治療をきちんと行うことが、脂肪肝の改善にもつながります。当院では、肝臓の状態と全身の生活習慣病を合わせてみながら、一人ひとりに合った方針をご提案します。
このような方は早めにご相談ください
✅ 健康診断で肝機能異常(AST・ALT・γ-GTP)を指摘された
✅ 以前に「脂肪肝」と言われたまま、経過をみていない
✅ 腹部エコーで脂肪肝を指摘されたことがある
✅ 肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧のいずれかがある
✅ お酒をよく飲む
✅ 体重が急に増えた/メタボが気になる
✅ 肝硬変・肝がんの家族歴がある
1つでも当てはまる方は、症状がなくても、一度肝臓の状態を評価しておくことをおすすめします。
脂肪肝は、自覚症状がないまま線維化が進んでいることもあります。早い段階で評価し、必要な対策をとることが、肝硬変や肝がんの予防につながります。
うれしの外科胃腸科クリニックの脂肪肝・肝臓内科診療
当院は、肝臓専門医の院長が脂肪肝をはじめとする肝臓の病気の診療にあたっています。院長は、大学病院や基幹病院で肝臓を含む腹部臓器全般の診断・治療に携わってきた経験があり、その知見をもとに、検診で肝機能異常を指摘された方や、以前に脂肪肝と言われた方の評価・経過観察を丁寧に行っています。
とくに当院は腹部エコー検査が充実しており、肝脂肪の定量化や線維化の程度の測定にも対応しています。数値の変化を追いながら経過をみていけるため、生活習慣の改善が肝臓にどう反映されているかを、患者さまと一緒に確認していくことができます。また、脂肪肝の改善には生活習慣の見直しが欠かせないため、栄養指導も行い、食事・運動の面からもサポートしています。脂肪肝は糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病とも関わりが深いため、肝臓の状態と全身の健康を合わせてみていきます。より専門的な治療が必要と判断した場合には、速やかに連携医療機関へご紹介いたします。肝臓のことで気になる点がある方は、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 健康診断で肝機能の数値が高いと言われました。脂肪肝でしょうか?
AST・ALT・γ-GTPの上昇の原因として、脂肪肝はもっとも多いものの一つです。ただし、ウイルス性肝炎や薬剤、アルコールなど、ほかの原因が隠れていることもあります。数値の異常が続く場合は、血液検査と腹部エコーで原因をきちんと調べることをおすすめします。
Q2. 脂肪肝は放っておいても大丈夫ですか?
脂肪肝の一部は、炎症や線維化を経て肝硬変や肝がんへ進行することがあります。初期は症状がないため気づきにくいですが、その間に線維化が進んでいることもあります。早い段階であれば改善が期待できるため、放置せず一度評価しておくことが大切です。
Q3. 昔「脂肪肝」と言われたきり、そのままにしています。今から受診しても意味はありますか?
意味があります。脂肪肝は時間の経過とともに状態が変化することがあり、線維化が進んでいないかを確認することが重要です。当院では腹部エコーで脂肪の量や線維化の程度を評価できますので、現在の状態を把握するためにも受診をおすすめします。
Q4. 痩せているのに脂肪肝と言われました。なぜですか?
脂肪肝は太っている方だけの病気ではなく、標準的な体格や痩せ型の方にもみられることがあります。体質や食習慣、運動不足などが関係していると考えられています。体型にかかわらず、指摘された場合は一度評価しておくと安心です。
Q5. 脂肪肝の検査は痛くないですか?どんな検査をしますか?
基本となるのは血液検査と腹部エコー(超音波検査)で、いずれも体への負担が少ない検査です。エコーは肝臓に針を刺すことなく、脂肪の量や線維化の程度を評価できます。当院はエコー検査が充実しており、脂肪肝の定量化や線維化の測定にも対応しています。
Q6. 脂肪肝は治りますか?
脂肪肝は、原因に応じた食事・運動・減量などの生活習慣の改善や、背景にある糖尿病・脂質異常症などの治療によって、状態の改善が期待できます。ただし、無理な急激な減量は逆効果となることもあるため、専門医と相談しながら進めることをおすすめします。
Q7. 脂肪肝を放っておくと、肝臓以外にも影響はありますか?
あります。脂肪肝は肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病と結びついており、放置すると2型糖尿病や、心筋梗塞・脳卒中などの動脈硬化に関連する病気のリスクが高まると考えられています。脂肪肝の改善に向けた生活習慣の見直しは、肝臓を守るだけでなく、これらの病気の予防にもつながります。当院では栄養指導も行い、食事・運動の面からサポートしています。
肝臓のことでご不安のある方、健診で肝機能異常を指摘された方は、うれしの外科胃腸科クリニックまでお気軽にご相談ください。ご予約・ご相談をお待ちしております。








