
過敏性腸症候群(IBS)
「通勤・通学の電車内で、急にお腹が痛くなる」
「大事な会議や試験の前になると、決まって下痢をしてしまう」
「慢性的な便秘と下痢を交互に繰り返している」
「常にお腹が張って、ガスが溜まっている気がする」
こうした症状を「昔からお腹が弱い体質だから」「ただのストレスのせい」と放置し、市販の整腸剤や下痢止めでその場しのぎをしている方は少なくありません。

しかし、その長引くお腹の不調は「過敏性腸症候群(IBS)」という治療が必要な病気かもしれません。また、症状がよく似た大腸がんなどの重大な疾患を見逃さないためにも、一度専門医に診てもらうことが大切です。
本記事では、那珂川市「うれしの外科・胃腸科クリニック」が、過敏性腸症候群の正しい知識と受診すべき理由について解説します。
過敏性腸症候群(IBS)とは?なぜ起こるのか
過敏性腸症候群とは、大腸や小腸に炎症や潰瘍などの目に見える異常がないにもかかわらず、腹痛・下痢・便秘などの便通異常が数か月以上続く病気です。日本人の約10人に1人が抱えているといわれており、特に若い世代や働き盛りの世代に多い傾向があります。
主な原因
腸と脳は「脳腸相関」と呼ばれる密接なネットワークでつながっています。過労・睡眠不足・人間関係のストレスなどを感じると自律神経が乱れ、腸の動き(ぜん動運動)が過剰になったり、鈍くなったりしてしまいます。
また、脂っこい食事・アルコール・カフェインの過剰摂取など、生活習慣の乱れも大きな誘因です。
「ただのストレス」と放置してはいけない2つの理由
① QOL(生活の質)の著しい低下
「またお腹が痛くなるかもしれない」という予期不安がさらなるストレスを生み、外出・旅行・仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。これは性格の問題ではなく、適切な治療で改善できる疾患です。我慢し続けることで失われる時間は、決して取り戻せません。
② 「重大な別の病気」が隠れている可能性
腹痛・下痢・便秘・お腹の張りといった症状は、以下の重大な病気の初期症状とほぼ同じです。症状だけで自己判断することは非常に危険です。
| 大腸がん | 腸内の腫瘍が便の通り道を狭め、便秘・下痢・腹部膨満などを引き起こします。早期発見であれば治癒が見込める一方、発見が遅れると治療の選択肢が大きく制限されます。 |
|---|---|
| 潰瘍性大腸炎・クローン病 | 免疫の異常で大腸の粘膜に慢性的な炎症・潰瘍が生じる指定難病です。長期的なコントロールが必要であり、早期診断が治療成績に直結します。 |
⚠ こんな症状があれば、早めに受診してください
- 便に血が混じる、または黒っぽい便が出る
- 意図せず体重が急激に減った
- 夜中に腹痛・下痢で目が覚める
- 症状が2〜3か月以上続いている
正しい診断は「大腸カメラ」で安全を確認することから始まる
過敏性腸症候群の診断で最も重要なのは、「腸の中にがんや炎症がないか」を内視鏡で直接確認し、危険な病気をきちんと除外することです。
当院では、経験豊富な医師による大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施しています。「痛そう・苦しそう」というイメージを持たれている方も多いですが、患者様の負担を最小限に抑える工夫をしておりますのでご安心ください。
検査の結果、ポリープやがんなどの異常がなければ、そこで初めて「過敏性腸症候群」として安心して根本的な治療を開始できます。
当院での過敏性腸症候群の治療アプローチ
危険な病気でないことが確認できたら、患者様一人ひとりの症状タイプ(下痢型・便秘型・混合型)とライフスタイルに合わせたオーダーメイドの治療を行います。
| 治療内容 | 詳細 |
|---|---|
| 薬物療法 | 腸内のセロトニンの働きを調整して下痢を抑える薬、便の水分バランスを整える薬、漢方薬など、市販薬では対応できない処方薬を症状に合わせて選択します。 |
| 食事・生活習慣指導 | 腸でガスを発生させやすい食品群(高FODMAP食:小麦・一部の乳製品・特定の果物など)を控える食事法は、科学的根拠のある有効なアプローチとして広く用いられています。アルコール・カフェイン・脂質の過剰摂取を控えることも重要です。 |
| 自律神経のケア | 睡眠・運動・ストレス管理など、生活リズム全体を見直すことで「脳腸相関」の乱れを根本から整えるサポートをします。 |
過敏性腸症候群(IBS)に関するよくある質問
Q1. 昔からお腹が弱いのですが、体質ではなく病気なのでしょうか?
A. 単なる「体質」ではなく、過敏性腸症候群(IBS)という治療が必要な疾患である可能性があります。腸自体に異常がなくても、脳と腸の連携の乱れによって痛みや便通異常が起こります。適切な内服薬や生活指導を受けることで、長年の悩みが大幅に改善するケースも多くあります。まずはお気軽にご相談ください。
Q2. 大腸カメラは必ず受けなければなりませんか?
A. 必須ではありませんが、強くお勧めしています。過敏性腸症候群と大腸がん・潰瘍性大腸炎は症状が非常に似ており、症状だけで鑑別することはできません。特に40歳以上の方、血便・急な体重減少がある方は、内視鏡で安全を確認してから治療を進めることが重要です。
Q3. 市販の下痢止めや整腸剤を飲み続けても大丈夫ですか?
A. 短期的な使用は問題ありませんが、長期常用はお勧めしません。市販薬は症状を一時的に抑えるに過ぎず、根本的な解決にはなりません。また、重大な病気のサインを見えにくくしてしまう場合もあります。医療機関では、より根本に働きかける処方薬を症状に合わせて選択できます。
Q4. どのような食事や生活習慣に気をつければ良いですか?
A. アルコール・カフェイン・脂っこい食事などの刺激物を控えることが基本です。また「高FODMAP食」(腸で吸収されにくい糖質を多く含む食品:小麦・一部の乳製品・特定の果物など)を減らす食事法は、科学的根拠のある有効なアプローチとして広く用いられています。当院では患者様のライフスタイルに合わせた具体的な食事指導も行っています。
長引くお腹の不調は、一人で抱え込まないでください
毎朝のトイレの悩みや、外出のたびに気になる腹痛は、我慢し続けるものではありません。また、似た症状が続く場合に大腸がんなどの重大な疾患が隠れていることも事実です。
那珂川市はもちろん、春日市・福岡市南区周辺にお住まいで、長引くお腹の不調にお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
大腸カメラで「異常なし」の安心を確認し、症状に合った治療を始めることで、トイレを気にせず過ごせる快適な毎日を取り戻しましょう。








